人生の最大幸福は職業の道楽化にある

書評

本多静六著「私の財産告白」より。著者は、おのおのその職業、その仕事に、全身全力を打ち込んでかかり、日々のつとめが面白くてたまらぬというところまでくれば、それが職業の道楽化だと説く。

論語に、これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず、という言葉がある。仕事を心から楽しんで取り組むことができれば、地位や報酬は後から自然に付いてくる。

では、職業を道楽化するにはどうすればよいか。著者は、この方法はただ一つ、勉強をし、努力に努力を重ねるしかないと説く。マイクロソフトの創業者の一人であるビルゲイツは、非常な読書家で知られる。彼自身、学ばなければ生産性は落ちると言っている。

どんな分野でも、八千時間全力で学べば、プロフェッショナルになれるのだという。では、自分の専門分野だけを徹底して学べば、職業を道楽化することができるだろうか。

将来はAI技術がますます進歩し、患者の症状に基づいて膨大な文献の中からその患者の治療に最適な治療法を見つけたり、訴訟の状況に基づいて膨大な判例の中から似た判例を見つけ訴訟の勝率を上げたりすることが当たり前になるだろう。AIが得意なことはAIに任せ、人間は人間が得意なことに集中すべきだろう。

そうすると、勉強するべきは教養ということか。

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