北京に赴任していたころ、せっかくの機会だからと思い、中華料理を少し勉強した。中華料理と一口に言っても、中国大陸はとても広いので、場所によって気候や風土が異なり、食材や調理法も異なる。料理の分類は北京料理、上海料理、四川料理、広東料理など、場所の名前で区別される。
例えば北京は、一年を通じて、とても乾燥している。このため水を多量に使う煮物よりも、油で炒めたり、少量の水で蒸したりする調理が多い。北の方に位置しているので、冬はとても寒い。このため味付けは塩辛い。
また北京を含む北方は食べ物が南方ほど豊富でないため、保存の効く小麦粉を使った麺料理が多い。中国語の「麺」は小麦粉を意味する。餃子は北方発祥と言われているし、北京からさらに内陸の山西省には、刀削麺などの麺料理が豊富にある。肉まんやあんまんなどの包子も麺料理の一種だ。北京には、包子をテイクアウトできるお店が沢山あり、街のあちこちで売っている。包子に入れる餡も様々だ。朝通勤していると、包子をビニール袋に数個入れて歩いている人をよく見かける。
久しぶりに包子が食べたくなったので、作ってみることにした。包子の生地の作り方は、パンの作り方によく似ている。違うのは卵やバターを入れないことくらいで、ドライイーストを入れて発酵させれば、蒸しパンのようにフワフワになる。北京では餃子粉という名の小麦粉が売られていたが、日本だと強力粉と薄力粉を1:3で混ぜれば良い。
一般的な包子と言えば、やはり肉まんだ。餡の主な具材に豚の挽肉と玉ねぎを使う。これにさらに干し椎茸を水で戻したのを入れれば旨味が増し、筍の水煮を刻んで入れれば歯ごたえが出て美味しい。入れる具材も味付けも自由だ。
生地をこねてラップをかけて1時間ほど発酵させたら、約2倍に膨らむ。生地が発酵している間に餡を作る。発酵した生地を均等に切り分けて丸めて麺棒で平らにし、餡を包む。蒸した包子が蒸し器にくっつかないよう、包子の下に小さく切ったクッキングシートを貼り付ける。蒸し器で20分ほど蒸したら完成だ。
出来立ての包子は絶品なので、ぜひお試しあれ。