子どもをおつかいに出すときを思い出す

書評

石田淳著「教える技術」より。部下がやったことのない「行動」について、初めてのおつかいに送り出す子どもと同じように、きちんと分解して教えなければならないという趣旨。

上司の仕事をよく観察して、その技術を盗め。なんでもすぐに教えたら、甘えて自分で考えなくなるから、教えたらダメだ。という人がいる。

だけど、大学を卒業するまでずっと詰め込み教育を経験してきた新入社員に、いきなり自分で考えて行動しろ、って言っても、それで放っておいたらどんどん自力で成長しました、なんて話は聞いたことがない。どうして良いか分からず、とりあえず色々やってみて、でも成果が出ずに上司に怒られて、自信を無くしてモチベーションも下がる、というのが関の山だろう。

だから、例えばお客様にきちんとお辞儀をさせたいなら、「きちんとお辞儀しろ」というのではなく、腰を60度曲げて、そのまま3秒間止めなさい、という風に細かく具体的に伝える必要がある。きちんとしたお辞儀の解釈は、人によって異なるからだ。

武道の世界に、守破離という言葉がある。まず師匠から教わった型を「守る」。次に自分の創意工夫を加えて型を「破る」。最後に教わった型から「離れ」て自在になる。最初にしっかりと型を身に着けるからこそ、後に成長しその型を破ることができる。

部下を育てるのは、子育てとおんなじだ。