中野信子著「あの人の心を見抜く脳科学の言葉」より。著者は脳科学者であり、人の心理を脳科学の視点で分析する。著者によると、人間の脳は人の不幸に喜びを感じる場所があるらしい。特に、普段から「不公正なことをする人だ」と感じている相手に不幸があると、喜びがより大きくなるらしい。また、自分にとって妬みの対象である人が不幸な目に合うと、蜜の味はピークに達するらしい。言葉で表現すると、「ざまあみろ」という感覚だろうか。
著者のことは、テレビやYouTubeで聞いたことがあり、本書を購入する前から存じ上げていた。最近ではコンビニの雑誌コーナーにも活字の書籍が売っているが、本書も、偶然コンビニで手に取り、面白そうなので購入したものだ。
私の本の選び方は、このような著者のことに興味を持って本を選ぶ場合もあれば、コラムや雑誌でライターが書いている文章が面白く、そのライターが引用している書籍を選ぶ場合もある。また、会社帰りや出張先で本屋に寄り道し、たまたま目についた書籍を購入することも多い。最近は、Amazonがお薦めの本を推測し、教えてくれる。
話が脱線したが、他人の不幸が蜜の味になる経験は私にもある。人の不幸を喜ぶなんて、人として問題があるんじゃないかと少し悩んだりしたが、本書を読んで、脳の仕組みがそうなっているのなら仕方ないかな、と少し救われた気がした。
だだ蜜の味に感じるだけならまだしも、最近は、芸能人が不倫したり、政治家が不正をすると、鬼の首でも取ったかの様に、ブログやツイッターで辛辣なコメントが沢山書き込まれる。
これは、「正義の執行」中毒に陥っていると著者は言う。インターネット上では、リアル社会と比べて自分の意見に賛同してくれる人が多く、それが快感になっているらしい。そういう人は、他人からの承認欲求に飢えているのかもしれない。また、人間は匿名性が与えられると人からの復讐の恐れが無いために一気にタガが外れ、人が変わったようになるらしい。
確かに不倫や不正は悪いことだが、そんなに辛辣に批判したら、言われた方は悩んで鬱になるんじゃないかとちょっと心配になる。また、そんなに人を批判できるほど、あなたは完璧なんですか、と批判している人に言いたくなる。
著者によれば、良い言葉も悪い言葉も、脳はしっかりと覚えていて、脳内でリピートされるらしい。だから自分のために、良い言葉を発するように心がけ、悪い言葉を発している人からは遠ざかるように心がけたい。
天に向かって吐いた唾は、必ず自分に返ってくる。