演繹法・帰納法だけでなく、推論が必要

書評

高松康平著「筋の良い仮説を生む地図と武器」より。ビジネスリーダー向けに必要な能力開発について。著者は推論する力のことを「仮説力」呼んでいる。

問題解決能力は、一般社員であっても、幹部社員等のリーダーであっても、同じように必要な能力だ。ではなぜ、リーダー向けの問題解決能力には仮説力が求められるのか。

これは、一般社員が上司から与えられた問題を解決すれば良いのに対し、リーダーは、今顕在化していない問題をより広い視野で見つけ、それを解決しなければならないからではないだろうか。

自分の職場を見ていても、与えられた仕事をしっかりこなしているだけでは、なかなか昇進できない。だけど、自分の所属する組織の枠組みを超えるような提案や成果を出し続けている人は、どんどん昇進していく。そういう人は意識的にか無意識にか、仮説検証を繰り返しながら、自分の組織の枠組みを超えているように見える。

これは、新商品の開発にも似ている。例えばiPhoneがまだなかった時代に、携帯端末について顧客がどんな新商品を求めているのか、アンケート調査をしたとする。その結果、顧客が欲しい機能が分かり、それを全部盛り込んだ携帯端末を作ったとしても、iPhoneは生まれないだろう。なぜならいくら詳細なアンケート調査をしても、顧客は自分の知っている携帯端末の範囲でしか、回答できないからだ。まだ世の中に存在しない、だけど有れば絶対に顧客が欲しがりそうなもの、そういうものを創造するには、仮説検証アプローチが有効だろう。

仮説検証アプローチができる開発者が日本にもっとたくさんいれば、日本からiPhoneが誕生したかもしれない。

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